数字のトリックに騙されるな!- データの嘘を見破る会計学の知識
今回は数字が持つ「恐ろしさ」や「可能性」について論じていきたい。

突然ですが、世界は数字に支配されてると思いませんか?
例えば通帳。
通帳自体は数字が羅列されてるだけの冊子に過ぎない。通帳そのものには何の価値もない。ただ数字が書いてあるだけ。その他にも数字の羅列はたくさんある。
- 金額
- 試験の点数
- 時間
- 偏差値
- 健康診断
- クリック率
- お店のポイント
全て単純な数字の羅列。
挙げればキリがない。極論を言えば数字を支配すれば人生を支配できる。数字にはそういう力がある。
ある意味、数字は悪魔だ。
では、悪魔の数字を定義付けしてみよう。
無能上司がバカの1つ覚えで何でもかんでも「数値化してくれ」って得意気に言ってくるけど、彼のように数値化したものを盲目的に信じるのもどうかと思う。
たしかに数字は嘘をつかない。
しかし、数値化することより「それをどう活かすか」「どう利用するか」の方が遥かに重要である。
数字は嘘をつかないけど、その数字の意図を考えるクセはつけておいたほうが良い。数字が現れたらまず疑ってかかるくらいが丁度いいかもしれない。
例えば経済効果何億円とかよく聞くけど、あれは全くあてにならない。
全くというのは語弊があるかもしれないが、分析者によって経済効果に含める範囲が違うから、同じイベントで算出しても各々数字が違ってたりする。
さらに、経済効果は基本的に引き算されてない。
例えば、とあるB級グルメイベントが年1回で100万円の経済効果があったとしよう。
このイベントを年3回やって300万円の経済効果があるわけないのに経済効果300万円と算出してしまうのだ。今年は1回行ったからもう十分と考える人も当然いるし、新規開拓にも限界がある。
実際は3回やるから3倍になるわけないのに経済効果300万円!とアナウンスしちゃう。つまり、主催者のさじ加減でいかようにも調整できるのだ。
あと注意してもらいたいのが平均値について。
私たちは平均値を買いかぶり過ぎている。「平均値確認しとけば間違いないでしょ」的な風潮があるけど、平均値だけでは本質を捉えることはできない。平均値以外にも利用価値がある数値があるので代表的なものを紹介しておこう。
データ全体の特徴を表す代表値
中央値
データを小さい順に並べて中央に位置する値のこと。たとえば5人の体重の場合、その5人の体重の中央値は3番目に重い人の体重となる。
最頻値
最も頻繁に出現しやすい値のこと。
平均値
平均して得られた数値のこと。全部のデータを足し合わせて、データの数で割った値。
さて、それぞれの値の特徴を理解するために「とある国の年収」を例に考察してみよう。
とある国の年収データ
平均の場合
年収200万円の人が多かったとしても、資産家や億稼ぐ人がある程度いれば平均値は上がる。
実際は年収200万円の人がほとんどなのに、平均で計算したので実体が反映されなかったことになる。
国の印象としては、それなりに裕福な国となる。
中央値の場合
中央値は中央の値なので、富裕層の年収に影響を受けない。ほとんどが年収200万円の国なので中央値は200万円と近似値になる。一般的な年収は200万円となり、平均値より実体を捉えてることがわかる。
しかし、一見優秀に思える中央値にも欠点はある。中央値の弱点は富裕層の存在が反映されないこと。本当は富裕層がいるのに数値に反映されてない。
国の印象としては、総じて貧しい国となる。
最頻値の場合
中央値と同様に200万円前後になる。中央値と一緒で富裕層と最貧層の「外れ値」の影響を受けない。
欠点は出現率の高い値が複数あると最頻値を1つに決められないこと。
例えば、年収200万円以外にも、ほぼ同数の最頻値が年収150万円と100万円の2ヶ所あった場合は判断が難しい(都合3ヶ所になる)
この場合、3つが最頻値になる可能性がある。
国の印象としては、総じて貧しい国となる。
まとめ
数字を発信する側は「読み手の感情を誘導する目的」で表現や算出方法を都合よく調整し、戦略を持って提示している。
世の中には2つの数字が存在する。
人生逆転を目指す私たちは意図を持った数字を発信して、自分の優位な方へ「誘導するスキル」をマスターしたいところだ。
最後に、会計学の超入門編としておすすめの本を紹介しておきたい。
あまりに有名なので知っている人も多いと思うが「会計学とは?」という入口の人には今も最強バイブルである。
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