現場上がり社員の壁はマネジメント能力
出世したら得意なことから離れてしまう矛盾が会社にはある。
例えば、あなたが全国にチェーン展開する「格安が売り」の床屋さんに入社したとしよう。
あなたは人の髪を切るのが大好き、おまけに接客も大好きで、まさに天職だと思ってこの仕事を選んだ。そんなあなたの仕事ぶりが功を奏してお店は大繁盛。エリアTOPの売り上げを叩き出した。そして、本社からお呼びがかかった。トントン拍子で本社に栄転!
本社配属になったあなたは気合いを入れる。よっしゃ、売上上げて出世街道一直線だ!
デスクにあるパソコンで担当エリアの店舗の売上と毎日にらめっこ。あなたは意気揚々と各店舗に電話する。
「作対越えてないんだけど、どうして?」
「クレームいっぱい入ってるけど、やる気あんの?」
「人件費厳しいなぁ シフトダブついてない?」
俺ならガンガン売上上げれるのにあいつら何やってんだろ?なんかオレのエリアって、使えねぇヤツ多くねぇか・・・
気づいたら毎日イライラしている。そんな状態で現場の売上は上がる訳もなく、ギスギスした職場環境に退職者が後を絶たない。
売上はガタ落ち、求人広告費もガンガン膨らみ、あなたの担当エリアはまさに壊滅状態。
数カ月後、あなたは責任を取り、退社・・・
あなたは思う。
- オレ、何やりたかったんだろう・・・
- 何でこうなったんだろう・・・
上記は極端な例かもしれないが、似たような話は掃いて捨てるほどある。まさに「会社あるある」なのだ。現場で好成績を上げた社員が成果を認められて本社配属になった途端、輝きを失うことはよくあること。
さて、原因は一目瞭然。
マネジメント能力が致命的に欠如していること。しかし「あなた」は会社から与えられたミッションを愚直にこなしていただけ。ある意味、最大の被害者は「あなた」かもしれない。
では、マネジメント能力とはそもそも何なのか?どうやって習得していくのか?
まずは一般的なマネジメント能力の定義を確認してみよう。
物事を取り仕切って「運営・管理」を遂行する腕前や力量を表す言葉。運営能力、管理能力、経営能力などにも置き換えられる。
ようするに、部下を上手に使って、自分のチームを最大限レベルアップさせて会社への貢献度を高める能力のこと。
まあ、一般的には大体こんな感じでしょう。
でもね。はっきり言ってそんな能力、別にいらないんじゃないかなぁと最近思うようになった。
あえて言おう。マネジメント能力などいらない
正確に言うと「マネジメント能力がないと嘆く」ことが不要だということ。
そんな能力、そもそも人生逆転の絶対条件ではない。
ぶっちゃけ、あろうがなかろうが関係ないし、それらしい「How to 本」を読みあさっても、1週間もすれば忘れてしまう。人間なんて所詮そんなもん。であれば、マネジメントについて勉強しても時間の無駄。さて、ここでオレ理論。
マネジメント能力ってそもそも抽象的だし、何か分かりづらい。そんな抽象的なものに時間もお金もかける必要はない。
マネジメント能力がないなら余計なことをウダウダ言わずに、部下に気持ちよく働いてもらえばいい。ようは余計なことを部下に言わなきゃいいだけの話である。組織を束ねる際に致命的なのは、「うるせぇなぁ だったらテメーがやれよ」って部下に思われること。
想像してほしい。
無能上司からグダグダ言われるほどムカつくことはない。尊敬もしてない自分より無能だと思ってるヤツに、偉そうに説教でもされようものなら、そりゃバカらしくてやってられないでしょ。
マネジメント能力がないなら、むしろ部下に寄り添い、本社を仮想敵として上手く利用し、部下からの信頼を厚くすることに注力した方が断然いい。そして知識武装と理論武装を強化して、現場経験を踏まえた「お偉いさんへの言い訳」を考えた方が精神衛生上良いに決まってる。
しかも、あなたが給料を支払ってるわけでもないのに、あなたのために働いてくれるのが部下。極論を言えば、彼らを上手く利用することだけ考えればいい。

本社と現場、両方に「良い顔」できるのは、マネジメント能力があって、社内政治もできて、現場スキルもある人、いわゆる「有能な人」のみに許された特権である。
しかし、私たちは違う。
そんなに器用に立ち回れない。ならば作戦変更!
どちらかを捨てて一方に集中することこそ、私たち無能人間が会社というカオスで生き残る術である。
さて、「マネジメントNO理論」を使うと、冒頭の部下への指示は、伝えたいことは一緒でも言い方は全く異なる。
- 「作対越えるのって理論上難しいよね。ホント本社は現場のことわかってねぇよな。でもそんなこと言えるわけないし・・・ 何か良い方法ある?」
- 「クレーム最近多いみたいだね。現場大変でしょ。どうしたら減らせるか考えてみてよ。何か手伝えることある?」
- 「ちゃんと休めてる?人件費増えてるみたいだね。最近人手不足だし仕方ないよなぁ。 部長には俺から言っとくよ」
ポイントは3つ
- 自分の頭で考えさせること
- 権限を与えること
- 恩を売ること
とりあえず、これだけで良い。ようするに表現の問題なのだ。
で、3ヶ月ほど「3つのポイント」を意識しながら部下に寄り添って仕事してたら・・・
あら、不思議。いつの間にかしっかりマネジメントできてるやないかい!
しかも指示しなくても動いてくれるから手間がかからない。一石二鳥だ(^o^)
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