飲み会に限らず「無礼講だ!」は信じてはいけない
以前、私はホテルで働いていた。
そのホテルは一流どころか三流ホテルだったので、典型的な「名ばかり分業制」で、人が足りない時は皿洗いから提携してた企業までの送迎(普通免許で乗れるマイクロバス)まで、何でもやらされた。今となっては良いのか悪いのか分からないけど、お陰様でホテル業務は人通り経験できた。

当時20代の私は元気で多趣味で怖いもの知らず。
おっさんになった今とは別人のようにアクティブだったので、デートに飲み会、釣り、スノボー、車イジリなどなど、ほぼ毎日遊び呆けていた。
バイクも乗っててホテルのバイク仲間が作ったツーリング倶楽部にも参加していた。何人かで遠方までツーリングして、温泉入ったりご飯食べたり観光地に行くだけなんだけど、当時はそれなりに楽しかった。
温泉で裸の付き合いなんかすると何となく心も打ち解けるので、けっこう深い話もできる。こういう機会で部署間の仲の悪さも個人レベルで多少緩和できたりもする。
特にホールと厨房は超絶に仲が悪かったけど、こういったコミュニケーションもあって私はさほど人間関係で苦労してなかった。そんなバイク仲間の一人に田中さん(仮称)がいた。彼はコックさん。
私はレストランでも働いてて、年上で家庭もあってアニキ的な存在だったヤンキー気質の気さくな田中さんとは仲良くさせてもらってた。
さて、そんな田中さん。うちのホテルの前は小洒落たチェーン展開してるレストランで働いていたらしい。
そして、問題は辞めた理由。
辞めた理由は・・・
何とも切ない話だ。
彼は青二才の私に、酔うと真剣な顔して何度も何度もこう言っていた。
当時は気にも留めない話だったけど、アラフォーになった今「田中さん、あなたの言うとおりですね」って心から思う。
何を隠そう、社内では毒舌ぶっちゃけキャラで逆に信頼を得ている私だけど、気心の知れない上司には本音は言わないし、どんなに気心の知れた上司でも絶対無礼講などやらない。
忖度できる大人なら、ガチで辞める覚悟ができている人間以外は本当のことは言わない。
住宅ローンが30年も残ってて自分の不利益になることを言う訳ないし、逆に一時の感情で全てを失う言動は、言った本人は正義感を振りかざして一瞬ご満悦かもしれないが「最も愚かな行為」と言わざるを得ない。
さて、次に「今夜は無礼講だー」と叫ぶ人の心理も考察しておこう。
今夜は無礼講だ―!って言う心理
サンプルは「私」で考えてみた。
現在30名程の部下がいる私が「今夜は無礼講だー」って叫ぶ時の気持ちを客観的に掘り下げて検証したら2つの深層心理があることに気づいた※キャラ的に私が「今夜は無礼講だー!」って叫ぶことは100%ないけど・・・
- 「今夜はオレ(上司)がガンガン行くぜ!」という決意表明であり、強気な時。内心は「今夜リミッター外すのむしろオレ(上司)」だと思っている。
- 「部下の本音が知りたい」自分に自信がない時。弱気な時ほど逆に強がってこう言いたくなる。ただただ部下の本音が知りたい。しかし、タチが悪いことに本音を知ったら知ったで「コイツこんなこと思ってやがったのか!」などとムカついて根に持つ・・・
概ね上記2つに絞れると思う。
あとは無意識に枕詞的に使ってるおっさんも多そう。
ちなみに無礼講の歴史は古くて、後醍醐天皇が鎌倉幕府倒幕の際、不信の者を選別するためにルール無用の宴を催したのは有名な話。
いつの時代も人は相手の本音を引き出すために「今夜は無礼講だー!」と叫んでいたのだろう。とはいえ、最近はあまり「今夜は無礼講だー!」って聞かなくなったような気もする。
あと数年もしたら「ドロンします」「花金」「ウチの会社の大蔵大臣」のように死語(懐かしい言葉)扱いされそう・・・
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